開門したら大変だ 地域住民の悲痛な叫び of 諫早湾干拓事業推進連絡本部

洪水調節機能への影響洪水調節機能への影響
諫早干拓地や周辺農地での営農への影響諫早干拓地や周辺農地での営農への影響
拡大してきた背後地農地の裏作・転作へも影響拡大してきた背後地農地の裏作・転作へも影響
農地の塩分濃度への影響農地の塩分濃度への影響
調整池の生態系への影響調整池の生態系への影響

有明海におけるノリの酸処理と海底底質の変化及び漁場環境悪化の関係

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開門したら大変だ!!
地域住民の悲痛な叫び 1~6

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開門したら大変だ!!

地域住民の悲痛な叫び①

 諫早湾について2001年3月連載の「苦悩の海」の中で熊本大学の滝川教授は諫早湾に出入りする海水量は有明海全体の0.9%であり海流が反時計回りの有明海では諫早湾は奥部の小さなポケットの様な存在であり潮流全体への影響は考えにくいと言われています。
 有機酸処理添加剤硫安投与等により有明海を疲労させていると言う意見に対して、水産庁は、河川から流れ込む農業排水や生活排水の方が大きいと言われています。そのことが可とするならば有明海に注ぐ主要河川の総流域、総人口と比較すれば本明川流域面積は約1.3%、人口は2.3%に過ぎないと言われているのに、有明海の汚染がこれらの河川流域に生活する人々の営みの結果で、原因が調整池に有るとするような事、事態理解できません。
 諫早湾干拓を有明海荒廃の再生の為の標的にした様な環境アセスは真っ向から反対であり、関係当局はもう少し有明海の異変と言う事を見つめ直す事が必要ではないかと思われます。

地域住民の悲痛な叫び②

 私は、まず基本的に何故、開門調査の環境影響評価を急ぐのか理解に苦しみます。その理由として、
(1) 福岡高裁に控訴中であり、開門調査を命じた佐賀地裁の判決に不服があるから上告している事。(これは私も同感で有る)
(2) 下級審は往々にして判断が分かれる事が多いのは、多く裁判例をみても明らかである。
(3) 審理中の裁判に間違ったコメントを与える可能性もある事。
(4) 三審制の中で最高裁の判断を待つのが当然である。関係者の意見が対立する場合は特に、国の司法としての権威ある判断が必要である。
次に、開門調査だけで終わるのかどうかです。開門調査だけで終わるのであれば、何の為の調査か、調査のための調査と言わざるをえません。その様な事で行うには、あまりにも地域に与える影響と言うよりも被害が多すぎます。調査を行うだけでも莫大な調査費用と損害補償が発生する恐れが大きいです。
特に堤防内に於いては
(1) 調整池の機能低下によって洪水の発生や背後地に於ける農地の排水不良等が起こり、せっかく安定してきた、生活、営農環境が壊される。
(2) 旧堤防や排水機場が老朽化しており、その対策に莫大な費用が掛る事。
(3) 背後地の水田に於いては汐遊池の塩分が無くなり、その水を利用しているので、地下水を利用しなくなり激しかった地盤沈下もとまっているが、地下水の利用を再開すると、又地盤沈下が始まる恐れが大きい。
(4) 潮風被害などで現在栽培している作物が栽培できなくなる恐れが大きい。
堤防外においては
(1) 狭い排水門からだけの海水の出入りなので、泥土の巻上げや海流の変化等で漁業環境の悪化。
(2) 開門調査は当然大雨時には実施できないので渇水期となり、海苔養殖に与える影響が大きい。

 挙げれば限りないですが、これの理由により調査だけの調査は行うべきではないと考えます。もし、開門を前提にした調査であれば、最高裁の判断が出され開門及びその為の調査の全責任は国に有る事を明確にした上で、開門にかかる一切の損害と補償方法等を含めた総合的な調査をするべきであると考えます。
 この様なことから我々、地域に住み農業を営む物にとって調査は死活問題であり、現時点では絶対に開門調査の為の環境影響評価は行うべきではないと考えます。

地域住民の悲痛な叫び③

 平成9年7月10日前夜から降り続いた雨で出穂したばかりの、慶師野地区で作付けしているコシヒカリも冠水し稲全体が見えなくなり、溜め池のようになりました。
 しかし干拓閉め切り以前であれば、当然一週間は引かなかった筈ですが、この水も当日夕方には引いてしまい、皆無と思われた慶師野地区のコシヒカリも収穫をしてみますと反収5表半(330キロ)の収穫を得る事が出来き、防災諫早湾干拓の有り難さをしみじみ感じた年でもありました。
 それからこのような問題がおこり誠に残念であります。開門をしなさいと言われる皆さんは、私達が住んでいる地域の状況はお分かりですか?海面より低い所ですよ、一日に二回の潮の満ち引きで水位が調整され生活が出来ているのです。
 潮受け堤防7キロの内、排水門は約300メートル、その排水門を開けますと満ち潮の時にはものすごい勢いで海水は入り込み、引き潮のとき入っただけの海水はでることは出来ない、となりますと当然調整池の水位は上がり、背後地の水田には大きな影響を及ぼすのは確かです。
 世論も大切ですが実際その地域で生活をしている者の身になって考えて欲しい、そして実際その地域で生活をして見て欲しい、天気の良い時は何も分からない、しかし大雨が降った場合どのようになるのか?開門せよと言われる皆さんもせめて5年間私達の地域で生活をして見て欲しい、そうすれば確かな結論が得られ、私達が開門に反対する理由が分かるはずです。このような訳で排水門の開放にはどうしても賛成出来ません。

地域住民の悲痛な叫び④

諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門を開門して調査する事に対しまして、背後地の農家、住民としましては絶対に反対をいたします。
(1) 諫早湾干拓地が背後地の耕地の地面より高くなっており、開門されますと背後地の排水が出来なくなる。
(2) 塩害が発生し、農作物の栽培が出来なくなる。
(3) 淡水魚の死によって色々な問題点が出る。
(4) 開門をして調査を行っても潟のまき上げ、その他被害が出るばかりで調査にならない。
(5) 海苔業者の酸処理、有明海沿岸の様々な問題点がある
諫早湾干拓工事が出来なくても現在の様な海の事態になっていたのでありま
す。その事に対しましては漁業者も良く把握しており、まだ補償が足りずにこの様な行為に出ているとしか思われません。
 開門調査を行う事に対し絶対反対であります。強く要望を致します。

地域住民の悲痛な叫び⑤

 私達地域住民が記憶している、また体験した諫早湾干拓地域自然災害について、一筆したためます。
 大正3年あるいは昭和2年の台風・高潮による堤防決壊により住居の流出あるいは、多数の人命の犠牲者があったと語り継がれております。また、昭和32年の諫早大水害の惨状は生々しく記憶に残っております。
このような大水害の外にも、一度100ミリないし150ミリの降雨でたちまち水田は湖と化し、水稲・麦等すべての作物が被害を受けてきました。むしろ無被害であった年を数えた方が数少ないはずです。
また排水門・みお筋等北風が一風吹けばたちまち潟が溜まり排水機能を麻痺させ、機能回復のために命がけの作業は毎年3~4回は常で、大なり小なりの被害は数知れません。
 このような被害から永久に逃れるため諫早湾防災干拓が企画され、平成9年にこの事業が完成してからは、地域住民の生活安住はもとより、農業安定経営の基盤が築かれ、おかげさまで地域住民にとってこれ以上の喜ばしいことはありませんでした。それにも関わらず有明海漁業不振の種と、この事業に対し謂われもなき難題が浮上しております。潮受堤防の排水門開門要求を有明海漁民に起こさせ、この要求をのんで樋門開放すれば、諫早湾沿岸は再び元の災害地域に戻り、地域住民の難儀は計り知れません。
 農業であれ漁業であれ自然災害に左右されるという宿命的な課題は共通であると思います。平成13年には気象不良による海苔不作がありましたが、その後は順調に海苔その他の漁獲高も上がり、特に昨年は海苔をはじめ牡蠣・アサリ・タイラギなどに加えカニは大豊漁で、漁民のみならず社会全体の喜びでもありました。すなわちこの現実こそ漁業に悪影響を及ぼしていない何よりも堅い証拠と信じます。
 したがって、樋門開放は断固反対致します。